ソムリエ試験は、方向性を間違わずに努力をすれば必ず合格できるよ!
私はレストランサービス経歴17年、そのうち2店舗でマネージャー経験があり、日本とイタリア双方のソムリエ資格を取得しています。現在は小さなレストランを順調に経営していますが、過去にはたくさんの失敗を経験し、そのたびに試行錯誤をしてきました。
この記事では、「ソムリエ試験を1発で合格できる方法」を紹介します。
【前年の秋】市販のテキストで学習を開始。試飲会にも積極的に参加する
【1月】前年度の教本を使って1日2時間を目標に暗記を開始する
【3月】受験の申込と教本の切り替え。最新の教本で新情報を補完する
【7月】一次試験で一発合格を目指す
【8〜9月】二次試験のテイスティング対策に力を入れる
【10〜11月】ラストスパート。三次試験対策を開始する
ソムリエ資格を取得することで、あなたの信頼は増して昇進も見込めます。
誰でも受かる簡単な資格ではありませんが、レストランサービスで働く方にとって、給料アップに繋がるたった1つの資格だと考えます。
ワインに興味がある方はもちろん、飲食店勤務で給料面で不満のある方は、ぜひチャレンジしてください。また、受験をするべきか悩まれている方は、ソムリエのメリットを紹介しているこちらの記事も読んでください。
》ソムリエ資格のメリット5選|レストラン業界で成功するための秘訣
ソムリエ試験の基礎知識と合格までの最短ロードマップ
ソムリエ試験とは?|試験概要と難易度を解説
日本ソムリエ協会が認定するソムリエ資格を受験するには、いくつかの条件に当てはまり、3回の試験に合格する必要があります。
項目 | 詳細 |
---|---|
受験資格 | 【一般】酒類提供サービスで通算3年以上の経験。今も従事している。 【会員】会員歴2年以上。酒類提供サービスで通算2年以上の経験。今も従事している。 |
試験の概要 | 一次試験(筆記)、二次試験(テイスティング)、三次試験(実技)の3段階で構成 |
試験の開催日 | 一次試験は7月下旬~8月、二次試験は10月上旬、三次試験は11月中旬 |
試験の費用 | 【一般】55,390円(受験料34440円+認定登録料20,950円) 【会員】46,470円(受験料25,520円+認定登録料20,950円) ※認定登録料は、合格者のみ徴収される。通称「お布施」 |
一次試験の合格率 | 約30-40% ※暗記地獄の筆記でふるいにかけられる |
二次試験の合格率 | 約70-80% ※二次は対策が肝心 |
三次試験の合格率 | 約80% ※セオリー通りにやれば受かる |
全体の合格率 | 約30% |
備考 | 一発合格が出来なかった場合、翌5年間3回まで1次または2次試験が免除で受験できる 免除システムがあるため、一発合格率は30%を下回る ソムリエバッジは生涯有効 |
一次試験は最大2回受験が出来るけど、表は2回受験想定の費用だよ。
過去の合格率をみると、一次試験が一番の難所であることが分かります。
試験に挑むための心構えとして、短くても半年〜1年間は勉強に費やす覚悟が必要です。友達との遊びや飲み会を減らし、仕事と睡眠以外の時間は勉強に当てるくらいの意気込みがないと、合格は難しいでしょう。
そこまで言われると臆する方もおられると思いますが、日本全体の資格試験としては、ソムリエの難易度はそれほど高くありません。
全国の資格をランキング付けしている「JQOS日本資格取得支援 」の調査では、ソムリエ資格は6段階の下から2番目の「B」評価です。
特別な技術は必要なく、医者や司法書士のように何年も学校に通う必要もありません。きちんと勉強すれば、誰でも合格出来る試験ということがご理解頂けるかと思います。
【受験と同時に入会を検討するべきソムリエ協会会員】
ソムリエ協会の会員に入会すると、受験料の割引や、例会セミナーへの無料参加が可能となります。ただし、ソムリエを取得するためだけの入会は割高になりますので、入会を検討するべきパターンをご紹介します。
《入会を検討するべきケース1》
27歳以下の方を対象に入会金と初年度の会費が無料になる制度があります。受験料の割引も適用されますので、申し込まない手はありません。
《入会を検討するべきケース2》
例会セミナーに2回以上の参加を検討している人も、入会を検討するべきです。
まず、会員と一般受験との受験料の差額は8,920円です。例会セミナーは、会員は無料で参加できるものがほとんどですが、一般参加の場合は、1講義につき6,000円程度かかります。
単純計算ですが、2回以上のセミナー参加で、もとが取れる計算となります。後述しますが、トップクラスのソムリエ陣が講師として登壇される例会セミナーは、受講する価値は大いにあります。
《番外編》
・賛助会員制度を利用する場合は、ソムリエ試験の割引対象者となります。賛助会員制度とは、個人ではなく、企業が加盟する制度です。
ソムリエが多く在籍する会社やホテルに務めている場合は、実は、会社が賛助会員になっているケースも多いです。対象の可能性がある方は、上司に一度確認をしてみることをおすすめします。
ソムリエ試験合格までの最短ルート|私の実体験をもとに解説
ソムリエ試験を確実にストレート合格するためには、戦略的に学習を進めることが重要です。そこで、私が一発合格した際の具体的な学習プランを紹介します。
時期 | 学習内容 | 目的 |
---|---|---|
前年の秋頃 | 市販テキストで学習開始 試飲会にも積極的に参加 | ワインの基礎知識を身につける テイスティングの基礎を身につける |
当年1月 | 前年のソムリエ教本で暗記学習を開始 一次合格までは禁酒生活 | 一次試験対策のベース作り 暗記に集中するため |
当年3月 | 受験申込みと当年の教本に切り替え | 最新教本で新情報を補完 |
7月末 | 一次試験対策の総仕上げ、テスト受験 | 一発合格を目指す |
8月〜9月 | 二次試験のテイスティング対策 三次試験の論述対策、二次受験 | テイスティング用語に慣れる 品種や産地の特徴を記憶する |
10月〜11月 | 三次試験のサービス実技対策、三次受験 | 実技スキルを完璧に身につける |
12月 | 認定登録料を支払いソムリエバッジが届く | お疲れの乾杯ワインもお忘れなく! |
上記の通り、ワインの知識がゼロから学習する方は、前年の秋頃から、市販のテキストや問題集で学習を開始することをおすすめします。
ワインの知識と経験にある程度の自身がある方は、当年1月からの学習で間に合うと思うよ!
挫折しにくく見やすい、入門におすすめの参考書と問題集もご紹介しておきます。
▼ゼロからスタート! 紫貴あきのソムリエ試験1冊目の教科書 [ 紫貴 あき ]ワインスクール「アカデミー・デュ・ヴァン」の講師であり、ワイン業界の最先端で活躍されている紫貴あきさんの著書です。挿絵も多くて、ワイン初心者でもとても読みやすいと思いです。
この問題集1冊で合格できた!との口コミがあるほどなので、試験対策としての活用には適した問題集です。
また、春と秋には酒屋さんやインポーターの試飲会が多く開催されます。テイスティング学習のためにも、積極的に参加するようにしましょう。
ただし、「ソムリエになる」と決めた以上は、ワインを飲み込むのはNGです。アルコールが体内に入ると感覚が鈍りますので、「勉強で来ている」という強い意志を持って、ぐっと我慢をしてください。
この時点の試飲会でおさえておきたいポイントは、代表的なブドウ品種の特徴と、生産地によるスタイルの違いを大まかにでも覚えることです。そのためにも、出来れば、先輩ソムリエやワインに詳しい方と一緒に参加することをおすすめします。
ワインスクールに通うか悩まれている方へ|最短合格を目指すなら検討すべき
ソムリエ受験を考えている方は、ワインスクールの受講を検討されている方も多いと思います。
気になるなけど費用も高いし悩みどころよね〜
結論、最短で合格を目指すなら、ワインスクールは受講するべきだと考えています。
僕自身もスクール卒業生で、一発合格はスクールのおかげだと考えているよ。
ワインスクールをおすすめする理由は3つ。
1.ソムリエ資格を取得することによって給料が上がる見込みが大きい
2.毎年の試験の内容を細かく分析しているワインスクールは、合格にもっとも近い環境である
3.同じ目的の受験生に囲まれるため、自分の勉強ペースが適切かどうかを判断しやすい
順番に解説します。
ワインスクールをおすすめする理由1|給料アップに繋がり投資金額を回収出来る
私の経験では、ソムリエ資格取得後に上がった給料は年収20〜30万円です。スクールの費用は、どこまでを受講するかで大きく幅がありますが、5万円〜最大20万円程度です。
仮に、年収が20万円アップした仮定すると、およそ1年間で元が取れていることが分かります。これだけで、十分に検討する余地がある自己投資だといえます。
給料も上がって知識もついて、一石二鳥だね!
ワインスクールをおすすめする理由2|無駄なく学習を勧めることが出来る
いずれのワインスクールも、ソムリエ教本の要点と試験の傾向を網羅しています。これにより、受講生を計画的で効率的な勉強へと導いてくれます。
ただでさえ労働時間が長いサービス業界ですので、勉強時間の捻出に苦労される方も多いと思います。独学に比べて勉強時間が大きく短縮できることは、とても大きなメリットです。
ワインスクールをおすすめする理由3|同じ目的を持った仲間が出来ること
ワインスクールをおすすめする最後の理由は、同じ目的を持った仲間が出来ることです。同じ目的に向かって、同じ勉強をしている人たちに囲まれることで、自身の勉強ペースを把握しやすくなります。
また、そういった仲間たちと切磋琢磨できる環境を構築できると、勉強ばかりの生活に疲れたときにも互いを励まし合うことができます。
同じ目的を乗り越えた仲間たちは、もはや戦友。僕も受験から数年経っても交流しているワイン仲間がいるよ。
おすすめのワインスクールは早期学習が可能な「ヴィノテラスワインスクール」
ワインスクールは大きく分けて、「通学型」と「オンラインスクール」がありますが、私は「オンラインスクール」をおすすめします。オンライン学習は、住んでいる場所や時間に左右されず、費用も安い傾向があります。
オンラインは、教室代がかからず、講師を大勢雇う必要もないため、割安価格での運営が可能だよ。
そして、現在のおすすめワインスクールは、オンライン特化型ワインスクールの「ヴィノテラスワインスクール」です。
ヴィノテラス ワインスクール「ヴィノテラスワインスクール」は、オンラインスクールの中では最安値で、サポート体制も充実しています。また、多くのワインスクールは3月から授業が開始されますが、ワインスクールの中では唯一、申込みの段階から前年の講義動画が閲覧ができます。
これを利用すると、早い段階から本格的な学習を勧める事ができるわね!
同期生でLINEグループも開設されますので、近隣の方との交流や試験後にオフ会を開催することもできます。
それぞれのワインスクールのメリット・デメリットの比較は、こちらの記事で詳しく解説しています。
リンク|ワインスクール5社を徹底比較(coming soon)
どのスクールが自分に合っているのか、ぜひ参考にしてみてね。
ソムリエ試験にトータルで必要な費用はいくら?独学でも10万円以上は必要
ソムリエ試験に関する費用を、いくつかのパターンに分けて算出しました。不確定要素も多いので概算となりますが、計画的に資金準備をおこない、「想定外の出費」とならないように注意をしましょう。
学習パターン | 総額費用 / 内訳 |
---|---|
【独学】 27歳以下の無料会員 または、賛助会員 | 【107,350円】(最安値) – 受験料:46,470円(受験料25,520円+認定登録料20,950円) – 前年の教本:5,880円 – 市販テキストと問題集:10,000円 – 二次試験対策用ワイン代:30,000円 – 三次試験対策グッズ:15,000円 |
【独学】 一般受験 | 【116,270円】 – 受験料:55,390円(受験料34440円+認定登録料20,950円) – 前年の教本:5,880円 – 市販テキストと問題集:10,000円 – 二次試験対策用ワイン代:30,000円 – 三次試験対策グッズ:15,000円 |
【独学】 一般受験+会員申込み | 【142,350円】 – 受験料:46,470円(受験料25,520円+認定登録料20,950円) – 協会入会金と年会費:35,000円 – 前年の教本:5,880円 – 市販テキストと問題集:10,000円 – 二次試験対策用ワイン代:30,000円 – 三次試験対策グッズ:15,000円 |
【ワインスクール】 一般受験 | 【194,390円】 – 受験料:55,390円(受験料34440円+認定登録料20,950円) – 市販テキストと問題集:10,000円 – 一次試験講座&二次試験スタートアップ講座:84,000円 – 二次試験対策用ワイン代:30,000円 – 三次試験対策グッズ:15,000円 |
【ワインスクール】 一般受験+会員申込み | 【220,470円】(最高値) – 受験料:46,470円(受験料25,520円+認定登録料20,950円) – 協会入会金と年会費:35,000円 – 市販テキストと問題集:10,000円 – 一次試験講座&二次試験スタートアップ講座:84,000円 – 二次試験対策用ワイン代:30,000円 – 三次試験対策グッズ:15,000円 |
上の表の通り、「独学でも10万円以上、スクールに行くなら15〜20万円くらいは掛かる」という想定で資金計画を立てることが妥当でしょう。また、二次や三次の試験対策講座を受講する場合は、さらに費用がかかることも念頭に置いてください。
受験にかかる高額な費用を無駄にしないためにも、一発合格を目指して、半年〜1年間は勉強に費やす覚悟が必要です。
ここからは本題に入り、試験ごとの概要や対策を、細かく整理をして解説します。
最大の難所!一次試験対策と勉強方法
一次試験の概要とポイント
一次試験はCRT試験といって、パソコンで解答する4択形式問題です。試験は70分間で120問が出題され、そのうち70%を正解することが、合格ボーダーラインとされています。
全問解答後は、その場で「合格」か「不合格」かが画面に表示されます。
緊張の瞬間ね!汗
試験の期間は例年7月末から8月下旬までとなり、好きな日を予約して受験することが可能です。また、最大2回受験することができるので、7月末に1回、8月末に1回受験される方が多いでしょう。
ただし、2回目の試験はあくまで保険程度として考えましょう。できる限り、7月末に合格できるように準備をすすめる方が得策です。理由は、7月末に合格できれば、二次試験対策に最短で取りかかれます。8月末までかかってしまった場合と比べると、1ヶ月も差が開いてしまいます。
・ソムリエ協会の教本に書かれていることからしか出題されない
・受験申込みは3月開始で申し込んでから1〜2週間で最新の教本が届く
・前年と今年のソムリエ教本の内容で変更があった箇所は出やすい
まずは、早く教本を手に入れることが大事なので、受験受付が始まったらすぐに申込みをしてください。
また、ソムリエ教本は文章だらけで800ページ以上もあり、とても読みづらいです。読みづらさに慣れるためにも、年明けからは前年の教本を使って学習を開始しましょう。とくに独学で受験される方は、市販の教材ではなく、必ず教本を使って勉強することをおすすめします。
一次試験の具体的な勉強のコツ5選
勉強のコツ1|一次試験が終わるまでは禁酒をする
一次試験の勉強を始めるにあたり、遅くとも年明けからは、極力お酒を飲むのを控えましょう。スクールに申し込まれる方は、一次試験と並行してテイスティングの学習も入ってきますが、基本的に1月〜7月は暗記学習に没頭するべき期間です。
前年から、なんとなくでもテイスティング学習を始めている方であれば、一次試験に合格した後からでも十分に間に合います。
私も試験前の半年間はお酒を一切止めたよ。外食でもウーロン茶で乾杯!笑
勉強のコツ2|年明けからは教本のみを教科書にする
「やるぞ〜っ!」と、ラピュタのパズー張りに気合が入ると、試験対策の参考書を何冊も準備しがちですが、年初からは教本のみに集中しましょう。問題集も1冊で大丈夫です。
理由は2つ。
1.ソムリエ教本からしか問題は出ない
2.教本の暗記にどれだけ時間とエネルギーを費やせるかが勝負なので参考書探しの時間がもったいない
例外として、ワインスクールに通われる方は、講師の方のアドバイスに従い、スクール教材を中心に勉強するのが良いと思います。
※名作ですよね!笑
勉強のコツ3|ソムリエ教本を読んでアンダーラインを引く
具体的な勉強方法は、ひたすら反復勉強となります。まずは、ソムリエ教本を読んで、アンダーラインを引く作業です。
ただでさえ教本の分厚さに圧倒されるなか、さらに、呪文のような横文字がたくさん出てきます。ここでの重要なことは、分からないことがあっても、立ち止まらず、次へと進むことです。一次試験は、ソムリエ教本の網羅的な学習が必要なので、分からない箇所で長時間つまると時間がいくらあっても足りません。
本番の問題文や選択肢の単語は、基本的に言語で書かれていますが、4択問題ですので書く必要はありません。読めるようにだけトレーニングを行ってください。
僕は初めはカタカナで覚えて、問題集の学習で言語に慣れていったよ。
産地名や原産地呼称、栽培葡萄品種や気候と土壌、歴史に関する重要な数字など、基本的な事は丸暗記をする必要があります。気合を入れてアンダーラインを引いて行って下さい。
また、教本を読むなかで、他と違う箇所を探すこともポイントです。
例えば、「コート・ド・ニュイのエリアでは、マルサネ村のみロゼワインが作れる」ことや、「コート・ド・ボーヌのエリアでは、ブーズロン村のみブドウ品種がアリゴテである」など。
他とは違う要素がある箇所は、問題を作る側からしても出しやすいので、頻出する傾向があります。
勉強のコツ4|要点を徹底的に暗記する
次に、アンダーラインを引いた箇所を中心に、ノートにまとめて行く作業です。暗記用の赤シートが使えるように、重要なポイントは赤字で書き、自分だけのノートを作っていきます。
ここまでの作業が意外と時間がかかるうえ、勉強をした気になるので注意が必要です。綺麗なノート作成はまったく不要。この後の暗記が本当の勉強です。
ノートを作ることが目的になると、本質を見失うので注意が必要ね!
教本の項目ごとにノートにまとめ、1つの項目が終わったらようやく暗記開始です。暗記用の赤シートを使って、アンダーラインの箇所を全て言えるようにしていきましょう。
ボリュームの大きい産地は、より細かい分類に分けると覚えやすいよ。
最後は、暗記が完了した項目の復習をするため、問題集を使って解いて下さい。初めは完璧に解けないのは当たり前ですので、ここでも立ち止まらないことが重要です。
・範囲を絞って「アンダーライン→ノート作成→暗記→問題集」を繰り返す
例えば、「フランスのボルドー」という大きな範囲で暗記をしようとすると、覚える量が膨大になってしまいます。
「フランスのボルドー」の中でも、全体の概要とそれぞれの地区ごとに範囲を分けて、「アンダーライン→ノート作成→暗記→問題集」を行っていきましょう。挫折しないためにも、小さな成功体験を積み重ねることが重要です。
また、ノート作成と同様に、ソムリエ教本で表にされている「格付け」や「原産地呼称」なども、要点をまとめて自分自身で表を作るようにしましょう。
受験生泣かせの「ボルドーのメドック格付け」や「イタリアのD.O.C.G」は、見ただけの暗記では必ず忘れます。根気のいる作業になりますが、何度も反復を繰り返すことで、必ずあなたの血肉となりますので、頑張ってください。
最初にお伝えした通り、一次試験がソムリエ試験の最大の難所です。ここを乗り越えるとゴールが一気に近づきますので、自分との戦いに負けないよう、気合いを入れていきましょう!
勉強のコツ5|時間管理でゴールまでの道のりを可視化
勉強を始めたての頃は、ゴールが見えずに途方に暮れるかもしれません。心が折れてしまわないよう、勉強時間の管理は必ず行いましょう。勉強時間を管理することで、自分がどの地点にいるのか分かるので、モチベーション維持に繋がります。
諦めたらそこで試合終了ですよ!
勉強時間の管理には、無料アプリの「studyplus」がおすすめです。
自分の勉強時間を記録できるアプリで、カテゴリー分けのカスタマイズもできて、目標達成までの管理がしやすいです。また、SNSのように「いいね」を送り会える機能もあり、同じ目標を持った人を見つけて、士気を高め合うことにも使えます。
合格するための目安の勉強時間は「400時間以上」です。例えば、80時間を過ぎたら「山の2合目までは登った」という実感が得られるので、勉強時間の管理はとても大事なのです。
【ソムリエ協会の例会セミナーへの参加を検討しよう】
ソムリエ協会の会員に入会された方は、定期例会セミナーへ無料参加が可能です。(一部有料セミナーあり)
例会セミナーとは、有名ソムリエ講師陣が講義を行う、大変貴重なセミナーです。
例会セミナーの講師の方々は、「試験を作る側の人たち」であるため、試験のヒントをつかめる場合があります。二次試験に役立つテイスティングセミナーや、新たに教本に加わったポイントをお話し頂けることもあるので、タイミングが合えば検討してみて下さい。
二次試験に合格するための秘訣|過去の出題傾向と用語の暗記がカギ
二次試験の概要とポイント
二次試験はテイスティングの問題です。例年ソムリエ受験対象者に出題される問題は、3種類のワインと2種類のワイン以外のアルコール飲料です。(ワインエキスパートは、4種のワインと1種のその他アルコールです。)
いずれも選択形式で出題されますが、ワインは、「外観」「香り」「味わい」「その他の項目」「収穫年」「生産地」「ブドウ品種」をマークシートで解答します。ワイン以外のアルコール飲料は、銘柄のみを選択形式で解答します。
・「外観・香り・味わい」は、決められた個数以上を選ぶと0点となる
・使われる用語を把握し、セオリー通りに解答することが大事
・2千円代〜3千円代のワインが出題され、古酒は出ない
オリがある古酒は、グラスごとの差がでるため出題されない。
また、項目別の点数配分については近年発表がされています。
項目 | 点数配分 |
---|---|
外観 | 20% |
香り | 29~30% |
味わい | 17~18% |
その他の項目 | 8~10% |
収穫年 | 5% |
生産地 | 7~8% |
主なブドウ品種 | 12~13% |
外観、香り、味わいの方向性が正しいかが、重要視されていそうね!
ソムリエ二次試験のおすすめの学習方法と過去の出題傾向
二次試験は、テイスティングの用語に慣れるのが一番肝心です。ソムリエ教本にもテイスティング用語が掲載されていますが、読みづらいので参考書の準備がおすすめです。
参考書は1冊あれば用語を抑えられるので、ここでは試験対策に最適な本をご紹介します。
▼最新版 ワインテイスティングバイブル [ 谷宣英 ]二次試験対策は通学型のワインスクールがおすすめ
また、一次試験は独学で突破された方も、二次試験対策では通学型スクールの利用をおすすめします。
これには2つの理由があります。
1つ目は、オンラインのワインスクールや、自身でワインの準備を行うと、割高になるケースが多いことが挙げられます。
通学型スクールでは、1グラスあたり30ml程度を数種類並べて比較テイスティングを行いますが、オンラインスクールでは、1銘柄あたり100mlが瓶詰めされているところが多いです。自身でワインを購入する場合は、ハーフボトルでも375ml入っています。
たくさんの種類を少量ずつテイスティングしたい受験者にとっては、通学型のスクールが一番割安傾向であることが分かります。
理由の2つ目は、通学型スクールの二次試験対策は、テイスティングコメントを人前で発表することが多いため「記憶に残りやすい」ということです。
講師の前で受験生たちとテイスティングコメントを言い合う環境は、本番さながらの緊張感があります。
オンラインスクールや、自宅でのテイスティング学習をする場合と比較すると、どちらが緊張感があるかは、いうまでもありません。同じ立場の受験生たちと切磋琢磨できる環境は、通学型のワインスクールならではだと言えます。
ソムリエ先輩と受験生仲間がいて、一緒に学習出来る環境がある人は独学でもOK!
過去の頻出品種と出題傾向
テイスティングの学習と同時に、過去の出題傾向も抑えましょう。過去5年間のソムリエ試験に出題されたワインと、その他アルコールは以下のとおりです。
年度 | 銘柄 |
---|---|
2023 | 1.ソーヴィニヨン・ブラン|フランス|2021年 2.マルベック|アルゼンチン|2020年 3.メルロ|日本|2018年 4.ドライベルモット 5.スコッチウイスキー |
2022 | 1.シャルドネ |フランス|2020年 2.リースリング|ドイツ|2019年 3.シラーズ |オーストラリア|2020年 4 ピスコ 5.イエガーマイスター |
2021 | 1.フランス|シャルドネ|2019年 2.イタリア|サンジョヴェーゼ|2018年 3.アメリカ|メルロー|2017年 4.ラム 5.ヴェルモット |
2020 | 1.フランス|ソーヴィニョン・ブラン|2018年 2.日本|シャルドネ|2016年 3.イタリア|ネッビオーロ|2017年 4.ホワイト・ポート 5.ウォッカ |
2019 | 1.フランス|アリゴテ|2016年 2.アメリカ|カベルネ・ソーヴィニョン|2016年 3.スペイン|テンプラニーリョ|2014年 4.梅酒 5.ジン |
また、頻出されるブドウ品種は必ず抑えておきましょう。
<白の頻出品種>シャルドネ/ソーヴィニョン・ブラン/リースリング
<赤の頻出品種>カベルネ・ソーヴィニョン/ピノ・ノワール/シラー(シラーズ)
幸いにも9月は試飲会が多い時期です。積極的に参加をして、良く出題されるブドウ品種の特徴は、自分の「目」と「鼻」と「口」で覚えてください。
また、Google検索で「ソムリエ 二次試験対策 テイスティング用語選択用紙」と検索すると、模擬解答用紙がたくさん提供されています。ワインスクールに通われない方は、こちらも目を通しておくようにしましょう。
本番を想定して学習することが大事ね!
・若いワインの出題確率が高いので、若いワインに出やすい用語は必ず押さえる
・分かりやすい第1アロマ(アロマティック品種)の特徴は必ず押さえる
・マニアックな産地やブドウ品種は出題されない
・収穫年は2年前のヴィンテージであることが多い
二次試験は、テイスティングコメントの用語と方向性を理解出来れば必ず合格できます。一次試験が終了した方は、試飲会やスクール、ワインバーなど、積極的にテイスティングの機会を増やして行きましょう。
その他アルコール類の概要とおすすめの学習方法
二次試験では、ワインの他に「その他アルコール類」のテイスティングが2種類行われます。具体的には、「蒸留酒」「リキュール」「酒精強化ワイン」「フレーヴァードワイン」から問題が出され、選択形式で銘柄のみを解答します。
・色は、無色透明or琥珀色orその他の色
・味わいは、辛口or甘口
・アルコール度数は、高いor低い
・香りの特徴はどうか
一度香りを嗅ぐだけで記憶に残るものもありますが、出題されるお酒自体を知らなければ太刀打ちできません。
近くに協力的なBarがあれば理想ですが、無い場合は、通学型ワインスクールの対策講座が最も費用が抑えられて合理的です。
学校によるけど、受講料はおよそ7〜9千円程度だよ。
通学型ワインスクールが近くに無い場合、オンライン講座もありますが、通学型に比べて割高となります。
オンライン特化のワインスクール【ヴィノテラス ワインスクール】対策講座を受講する場合、記憶に残りやすくするため、二次試験日の直前の受講をおすすめします。ただし、その他アルコール類の配点はそれほど高くないため、力を入れすぎないで大丈夫です。
ワインが主体の試験であることを忘れないようにしないとね!
要点を抑えて確実に合格しよう|三次試験のポイントは身体で覚えること
最終の三次試験は、「論述試験」と「サービス実技試験」の2項目です。ここまで辿り着いたなら、ゴールまではあとわずかです。最後まで気を抜かずに駆け抜けましょう。
論述試験の概要とポイント
論述試験は三次試験の1項目ですが、二次試験と同日に行われるため、事前の対策が必要です。
制限時間20分間で、3つのテーマについて論述することが課題です。文字の制限数に合わせて、出来る限り書きましょう。
200文字制限なのに30文字しか書かない、といった事が無いようにしよう。
▼ソムリエ協会の公式から発表されている過去問題と模範解答を、2つご紹介しておきます。
》2023年ソムリエ試験の論述問題と模範解答(引用元:ソムリエ協会HP)
》2021年ソムリエ試験の論述問題と模範解答(引用元:ソムリエ協会HP)
・料理ペアリングの問題は毎年出題されている
・近年のワイン業界トレンドから出題されることが多い
・レストラン現場での対応能力が問われる
「料理ペアリング」の問題は頻出なので、必ず押さえるようにしてください。ペアリングは、郷土料理と合わせたり、香りや味わいの特徴を合わせたり、味覚の対比要素で合わせたりと、様々な方法が存在します。
ソムリエ教本の「料理とワインの相性」の項目と、市販の参考書を1冊読めば、ある程度は対応出来るようになります。
▼ロジカルペアリング レストランのためのドリンクペアリング講座 [ 大越 基裕 ]挿絵も多く、読みやすいです。日本酒やナチュールワインとのペアリングにも触れられているので、試験前に一読する価値ありです。
ペアリング以外の問題については、事前の予想が不可能です。ソムリエ教本の内容を自分の言葉で説明できると、論述問題も柔軟に対応できますので、一次試験の復習も重要です。
また、ソムリエ協会が開催する例会に参加することもおすすめです。ワイン業界のトレンドをテーマに挙げられることも多いため、論述に出題されそうな話題もよく出ています。
実技試験の概要とポイント
三次試験の2つ目の項目は、お客様を演じる審査員に対して赤ワインのサービスを行う「実技試験」です。合格率も高く心配しすぎる必要はありませんが、頭で考えずとも身体が勝手に動くまで、流れを完璧にマスターして挑みましょう。
制限時間は7分間です。
《実技試験の一連の流れ》
1.注文された赤ワインをプレゼンテーションする
2.デキャンタージュの準備を行う
3.デキャンタージュの了承を得る
4.パニエにワインを入れた状態で抜栓をする
5.ワインの状態確認のため、了承を得てからテイスティングをする
6.デキャンタージュを行う
7.お客様のグラスに少量注いでホストテイスティングをしてもらう
8.お客様のグラスに適量のワインを注ぎ足す
9.サービス道具の後片付けを行う
・ワインをパニエに入れた状態で抜栓出来るように訓練する
・オリがデキャンタに入らないように静かに注ぐ
・オリを除くために残すワインの量を感覚で覚える
本番では、中身がほぼ見えない黒いボトルを使用するので、重さや感覚を身体で覚えることが大事だよ!
実技試験の模範演技は、ソムリエ協会の公式ページで準備されている動画と、youtubeの対策動画で十分です。鏡の前で自分のサービスの姿を見ながら、流れるようなエレガントなサービスが出来るまで訓練しましょう。
人に見てもらったり、動画で撮影して見返すのもいいかもね!
また、レストランサービスの基本である、「清潔感」にも注意が必要です。制服や靴に汚れがないか、髪の毛はまとまっているか、ヒゲや濃すぎる化粧、整髪料の臭いにも気を配りましょう。
レストランサービスに相応しい身だしなみの詳細は、こちらの記事をご覧ください。
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トレーニングに必要なワイングッズ|おすすめのソムリエナイフや最安商品
実技試験のトレーニングには、サービス用の道具が必要となります。おすすめのソムリエナイフやワイングッズをまとめましたので、必要であれば参考にしてみてください。
《トレーニングに必要なワイングッズ一覧》
・パニエ
・デキャンタ
・ソムリエナイフ
・フルボトルの赤ワイン(コルクのもの)
・ペンライト(自立型)
・ワイングラス2脚 (ゲスト用、自分用)
・トーション(タオルでも代用可能)
・紙ナプキン2枚
・ボトルコースター3枚(小皿で代用可)
・サービストレイ(お盆で代用可能)
▼ソムリエナイフ 5929円
私の尊敬する、日本を代表するソムリエ「佐藤洋一さん」も愛用されているDulucのソムリエナイフです。有名メーカーのものと比べて価格もこなれていますし、無駄がない極薄のフォームと抜栓のしやすさは抜群です。毎日何十本も抜栓すると1年程度しか持たないデメリットもありますが、私も過去に5本以上愛用してきたおすすめのソムリエナイフです。
▼パニエ 3838円
自宅であまり使う機会は少ないですが、初心者にはパニエ抜栓は意外と難しいです。スムーズに出来るまで、何度も練習して下さい。
▼inaoテイスティンググラス×2脚(ゲスト用とテイスティング用)
「INAO」グラスは、国際規定のテイスティンググラスです。本番のソムリエテイスティングにも、こちらが使用されます。ゲスト用は、百均ワイングラスで代用するなど、何でも大丈夫です。
▼デキャンタ
注ぎ口の狭いもので練習すると、試験本番は余裕で作業が出来ます。メーカーものと比べて価格も安くておすすめです。
▼ペンライト
このペンライトはとてもおすすめです。お尻の部分がマグネットになっているので、ステンレス素材などの台の上では安定して直立します。私も試験対策で購入しましたが、現在も気に入ってお店で使用しています。
働いているレストランでワイングッズを使わせてもらえる場合は、ありがたく利用させてもらいましょう。グラスやデキャンタをお持ちで無い方は、これを機に購入しても良いと思いますが、パニエやライトを購入しても、自宅で使用する機会はそれほど多く無いと思います。
ソムリエ資格を取得して最短でキャリアアップを目指そう!
今回は、ソムリエ試験に一発合格するためのコツを細かく解説させて頂きました。
前年秋頃|試飲会でテイスティング学習、市販のテキストと問題集で学習を開始
当年1月|ソムリエ教本で学習と禁酒生活を開始。暗記に没頭する
当年3月|受験申込。新しい教本が届いたらすぐに切り替える
7月後半|一次試験を受験。合格の場合は、すぐに二次試験の学習開始
10月中旬|二次試験が終了後、三次試験対策に取り組む
11月上旬|三次試験が終了。お疲れの乾杯はお忘れなく!
12月|認定登録料(お布施)を払ってソムリエバッジが届く
ソムリエ資格の試験は、「どれだけ努力するか」の前に「方向性が正しいこと」がとても重要です。正しい道筋を理解して、着実にゴールまで駆け抜けましょう。
頑張るあなたを私は応援しています!
またお会いしましょう!
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