ホールで働いていると将来の漠然とした不安がつきまとうよね。
私はレストランサービス経歴17年、そのうち2店舗でマネージャー経験があり、日本とイタリア双方のソムリエ資格を取得しています。現在は小さなレストランを順調に経営していますが、過去にはたくさんの失敗を繰り返してきました。
この記事では、「レストラン業界で成功するためにソムリエ資格を取るべき理由5選」を紹介します。
・給料を上げる最短ルートになる
・昇進や転職に有利になる
・顧客との信頼関係が深まる
・ワイン業者や酒屋との信頼構築の土台となる
・ソムリエの権威で競合との差別化ができる
ソムリエ資格を取得することで、信頼を得るだけでなく、昇進の可能性も高まります。
給料の上がりにくいレストランでは昇進出来るかが大事よね。
決して楽に取れる資格ではありませんが、レストラン業界で働くあなたが給料アップを目指すなら、ソムリエ資格は最適な手段です。
レストランサービスは好きだけど給料面で不満のある方は、ぜひ最後まで読んでください。
ワインのソムリエ試験とは?難易度と合格に必要な勉強時間を解説
ソムリエ資格とは?権威性と他資格との違い
ソムリエとは、ワイン専門の給仕をイメージされる方が多いですが、実はサービス全般の知識と経験を有する人の事を指します。実際に、ソムリエコンクールでは、お客様の好みに合ったカクテルづくりや、葉巻やチーズなどの知識も必要となります。
ソムリエの資格は世界中に存在しますが、日本で特に権威性があるものは「日本ソムリエ協会(JSA)」が認定するソムリエ資格です。
似た資格で全日本ソムリエ連盟(ANSA)の資格もあるので注意が必要!
また余談ですが、世界で一番威厳のあるソムリエ資格は、ロンドンに本部を置く世界最大のワイン教育機関「WSET(ダブリュー・エス・イー・ティー)」です。
世界70カ国以上で教育組織が運営され、年間11万人以上が認定試験を受験している国際的な資格です。
日本ソムリエの年間受験者は4千人前後なので桁が違うわね。
ソムリエになるためには?勉強時間は400時間が目安
日本ソムリエ協会が認定するソムリエ資格を受験するには、いくつかの条件に当てはまり、3回に渡る試験に合格する必要があります。
項目 | 詳細 |
---|---|
受験資格 | 【一般】酒類提供サービスで通算3年以上の経験。今も従事している。 【会員】会員歴2年以上。酒類提供サービスで通算2年以上の経験。今も従事している。 |
試験の概要 | 一次試験(筆記)、二次試験(テイスティング)、三次試験(実技)の3段階で構成 |
試験の開催日 | 一次試験は7月下旬~8月、二次試験は10月上旬、三次試験は11月中旬 |
試験の費用 | 【一般】55,390円(受験料34440円+認定登録料20,950円) 【会員】46,470円(受験料25,520円+認定登録料20,950円) ※認定登録料は、合格者のみ徴収される。通称「お布施」 |
一次試験の合格率 | 約30-40% ※暗記地獄の筆記でふるいにかけられる |
二次試験の合格率 | 約70-80% ※二次は対策が肝心 |
三次試験の合格率 | 約80% ※セオリー通りにやれば受かる |
全体の合格率 | 約30% |
備考 | 一発合格が出来なかった場合、翌5年間3回まで1次または2次試験が免除で受験できる 免除システムがあるため、一発合格率は30%を下回る ソムリエバッジは生涯有効 |
一次試験合格のために必要な勉強時間はおよそ400時間程度。7月の試験日から逆算すると、年明けから勉強を初めて1日2時間のペースとなります。
僕も年明けから本腰を入れて勉強を始めたよ。毎日最低2時間以上、休日は丸一日を費やしていたので、およそ500時間は勉強したかな^^;
詳しい勉強方法や対策については、別の記事で紹介していますので、こちら参考にしてください。
リンク|ソムリエ資格を1発合格するための方法|最短ルートを分かりやすく解説(coming soon)
ソムリエ資格の費用対効果|レストランで給料をアップするための最短ルート
ソムリエ資格を取得する最大のメリットは、給料が上がる可能性が高いことです。
ソムリエの資格取得は、経営者視点でも、「ワインが売れる=売上アップ」と直結するため、資格を持つことで評価をされやすいです。資格を取得したなら、ソムリエバッジを胸に、堂々と昇給の交渉をしてみましょう。
とはいえ、自分から昇給のお願いをしづらい場合は、バッジが届くのが毎年12月頃ですので、契約更新や給料の見直しが行われるタイミングまで待つのも手です。
ただし、過去にソムリエが在籍したことのないレストランの場合は、手当の支給システム自体が構築されていない可能性があるので、必ず直談判しましょう。そして、手当がもらえないような職場なら、即転職をおすすめします。
また、ホールサービスの資格試験として、ソムリエ以外には「レストラン技能検定」が有名です。しかし、こちらの資格は、売上アップに繋がる資格なのかが経営陣に見えにくいので、昇給に繋がらないケースが多いです。
こちらで詳しくまとめていますので、宜しければご参考ください。
》「レストランサービス技能検定」の資格取得をおすすめしない理由
求人サイトで「手当有り」と出てくる唯一の資格は1級だけど、難易度が高いのに一般的な知名度が低いので、断然ソムリエ資格がオススメ!
職場にもよるので参考までですが、わたしは会社員時代、ソムリエ手当として年収20〜30万円を頂いていました。月額で1.7万円〜2.5万円程度。税金で20%ほど引かれますが、それでも嬉しい金額でした。
店長昇進や転職に有利!ソムリエ資格がキャリアに与える影響
前述したとおり、経営陣からみても、ソムリエ資格は分かりやすく魅力的な資格です。知名度が高く、そこそこ難しい試験だと認知されているので、試験のための努力も評価されやすいです。
そして、周りに資格保持者がおらず、役職のポストが空いている場合は、真っ先に昇進候補として名前が挙がります。「店長が何の資格も無しで、平社員がソムリエ」なんてお店はあまり見たことないですよね?
また、転職においても「ソムリエ資格」は優遇されます。
私も会社員時代は面接をする立場にいましたが、「サービススタッフ」の技量は、履歴書と面談だけではとても測りにくいものです。
その点、ソムリエの資格保持者は即戦力になる可能性が高いと判断ができます。経験の少ない若者であっても、その胸に輝く金色の葡萄バッヂは「努力が出来る人の証」として認められやすいです。
ソムリエ資格を取得してからの転職は、高水準の給料や福利厚生を見込める、高級店やホテルからの内定も貰いやすい傾向にもあります。また、そのようなレベルの高い職場環境でも、役職の次期候補を狙えるポジションに付くことも可能となります。
【わたしの略歴と絶対内緒な給料の話し】
最初のカジュアルイタリアンでの年収は260万円でしたが、最後の高級レストランの年収は600万円代をキープしていました。ここまでおよそ11年。20代は給料が上がりにくい業態ですが、戦略的に取り組めばもっと近道はあると考えます。
本気で年収を上げたい人は、こちらも参考にしてください。
リンク|稼げるスタッフになるためには(現職で昇給を目指す方向け)coming soon
リンク|飲食店の安月給に悩まされているあなたへ(給料が高い会社へ転職を目指す方向け)coming soon
顧客を引き付けるソムリエ資格の魅力|あなたを選ぶ理由が生まれる
人は、良くも悪くも、多少は見た目に左右されるものです。
病院のスタッフが白衣を来ているだけで信頼が生まれるのと同じで、ソムリエバッジを付けているだけで、「ワインはこの人に任せて良いんだ」というお客様の安心感に繋がります。
また、ソムリエバッジを付けていると、ワイン好きのお客様との会話が自然と増えます。会話の機会が増えることは、心を掴むチャンスが増えるということ。丁寧に誠意をもって接客すれば、あなた自身のファンへと繋がる可能性も高まります。
ただし、ワイン好きのお客様は、富裕層で食通の方が多い傾向があります。そういうお客様との会話は、試験対策の知識だけでは通用しないことが多いので、資格取得後も積極的に勉強をする必要があります。
自身の経験で例をあげると、試験勉強では「国や地域の名前」を覚える必要がありますが、お客様とお話しする話題は、「ワイナリーや銘柄名」のことである場合が多いと感じます。ワイナリーや銘柄は、一部を除いて試験ではあまり出ませんので、合格後も学んでいく必要があります。
試験で銘柄を覚える必要があるのは、ボルドーやブルゴーニュくらいだね。
ワイン業界で信頼を築くためのソムリエ資格取得の重要性
レストランで務めていると、ワインの試飲会に招かれる機会も多くあります。さらに店長になると、インポーターや酒屋さんとの商談の機会も増えていきます。そこでもソムリエ資格を所有しているかで、相手からの反応は大きく変わります。
ワイン業界は専門性が高い分野で、醸造や栽培に関わる専門用語もたくさん話題に出てきますが、あなたが「どの程度ワインの知識があるのか」によって、話し方や内容が大きく変わります。
ソムリエ資格を持っていると、最低限のワイン知識がある事を証明できるため、初対面のワイン商談でも話しがスムーズに進みます。
インポーターや酒屋さんも資格所有者の方が多いわよね!
また、国内外のワイナリーを旅行する時にもソムリエのメリットを感じます。自身がソムリエであることを伝えると、特別なワインを試飲させてもらったり、一般人は入れないところに案内してもらったりと、優遇される機会も多く恵まれます。
競合をリードする!ソムリエ資格で独立後のブランドを強化する
ソムリエ資格の所有者は、レストランサービススタッフ全体の約4.8%にしかすぎません。
情報元:厚生労働省HP https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/417
情報元:日本ソムリエ協会 https://www.sommelier.jp/exam/pdf/qualifiedholders.pdf
毎年1000人規模で取得者は増えて行きますが、まだまだ総合的に権威性が十分にある資格だと言えます。
僕が勤めていたホテルの高級レストランでも、ホールスタッフの数がおよそ40名のなか、ソムリエ所有者はたった5名だったよ。
ソムリエ資格は、レストランサービスで働いていくなかで優位な資格であることは間違いありませんが、あなたが独立したときにも、資格効果は十分に発揮できます。
例えば、あなたが開業したお店と同ジャンルのお店が同じエリア内に数店舗存在したとき、どのような差別化を行っていきますか?価格やメニュー、独自のこだわりなどなど。アプローチ方法は様々ですが、この差別化の1つとして、ソムリエ資格も有効です。
競合他社と比べて差別化が明確であると、似たようなお店の選択肢がたくさんある中で偶然選ばれるのではなく、あなたのお店を狙って来店されるお客様が多くなります。
ただし、「ソムリエ資格保持者」というだけでは差別化は弱いので、もっと別の要素も模索する必要もあります。
こちらは開業準備を行う時に書く「事業計画書」の記事で解説しています。
リンク|【必須】事業計画書を作るメリット3選(Coming soon)
ソムリエ資格を取得して最短でキャリアアップを目指そう!
私が、レストランのサービススタッフ全員が取得したほうが良いと考えている資格が「ソムリエ資格」です。
中でも「給料アップや昇進に繋がり転職に有利」という点だけを考えても、なるべく若い内にチャレンジすることをオススメします。
ただし、1発合格を目指せる覚悟であることが条件で、記念受験は絶対にオススメしません。なぜなら、中途半端な勉強で偶然合格できるような甘い試験でないことと、不合格で心が折れてしまい、二度とチャレンジ出来ないようになったスタッフも大勢見てきたからです。
友達や家族との時間を減らし、プライベートの全てを費やして、ようやく合格できる試験であることを念頭に受験しなければ、正直一発合格は難しいです。
・自身の経験をもとに「一発合格のための方法」をまとめた記事もありますので、宜しければ参考にしてください。
リンク|ソムリエ資格を1発合格するための方法|最短ルートを分かりやすく解説(coming soon)
行動しない人の末路|人生で一番若いのは今!
最後の話題としては少し暗いですが、私が見てきた「行動しない人の末路」についてお話します。
私は立場上、過去に3桁を超える人たちの面接をしてきましたが、その中には「行動力がなさすぎてもったいない」と感じる方を多く見てきました。
「ソムリエ資格もいつか取りたい、いつか給料の上がる職場に転職したい」と周りに発言しているだけで、今の職場に依存し、気付けば年を取って身体への負担が重くなり、厳しい労働環境に悲鳴を上げる。中には、当時の私(20台前半)の給料よりも低い賃金で働く50代の社員の方もいらっしゃいました。
自分の過去の行動が今の自分を作っているわけですが、ここでお伝えしたいことは、「人は行動することで、いつからでも変わる事ができる」ということです。お若い方はもちろん、ご高齢で接客業をされている方にとっても、「ソムリエ資格」は昇給を見込める唯一の資格です。
現地イタリアでは、現役ソムリエとして活躍されているシニア層の方もたくさんいらっしゃいます。私が留学していたときに接客をしてもらった80歳のソムリエ大先輩も、憧れるほど格好いい姿だったことを今でも鮮明に覚えています。
サービス業全体の給料が安く、長時間労働であった時代もありましたが、今は大きく変わって来ていると感じます。
給料が高水準のレストランも増えてきており、労働時間の見直しも多くの職場で行われています。
給料水準の高い立場に身を置き、大好きなサービスでお客様に喜んで頂く。これは、机上の空論ではなく、自分の行動次第で実現可能です。
この記事が、あなたの素敵な未来へと繋がるきっかけになれば幸いです。
あなたの努力を、わたしは応援しています!
またお会いしましょう!
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