「店長になったのに、年収はほとんど上がらない」
「責任ばかり増えて、給料が見合ってない気がする」
「このまま続けて、年収は上がるのだろうか」
カプリ




レストラン経営者|現役ソムリエ
飲食業界歴20年以上。レストラン2店舗でマネージャーの経験があり、日本とイタリアのソムリエ資格を保持。現在は、夫婦で小さなワインレストランを経営しています。
レストランサービス業界でキャリアアップを目指す方に向け、年収を100万円アップさせる具体的な方法と手順を解説しています。
飲食店の店長の平均年収は約360万円です。
ただし、この数字は「額面」の話です。
手取りにすると月23万円前後になります。
なんとなく昇進を待っていても、飲食業界では年収は上がりません。
環境を選び、自分から動いた人だけが年収を上げています。
この記事では、私の実体験をもとにリアルな年収事情を解説します。
マネージャー2店舗を経験し、約240万円から600万円弱に上げた具体策もお伝えします。
統計データだけの記事とは違います。
実際の年収推移と、100人以上を面接してきた視点からお伝えします。
この記事を読むことで、以下のことが分かります。
- 飲食店の店長の平均年収と手取りのリアル
- 年収240万→600万弱に上げた具体的な3つの方法
- 年収が上がる店長と上がらない店長の違い
- 店長のキャリア3つの選択肢(昇進・転職・独立)
飲食店の店長の平均年収は約360万円


業態別の年収目安を比較
飲食店の店長の年収は、業態によって大きく異なります。
| 業態 | 年収の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 大手チェーン(居酒屋等) | 350〜500万円 | 昇進制度が明確。福利厚生が充実 |
| 高級レストラン | 360〜600万円 | 経験と実績次第で上がる。ポストが少ない |
| カジュアルレストラン | 280〜400万円 | ポストが空きやすく役職に就きやすい |
| カフェ・ベーカリー | 250〜350万円 | 客単価が低いため年収の上限が低い |
| 個人経営店 | 200〜400万円 | 店の利益に左右される。安定しない |
出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」、Indeed給与データ(2026年3月時点)をもとに筆者作成
大手チェーンは年収が安定している代わりに異動が多いです。
高級レストランは実力次第で年収が大きく変わります。
私がカジュアルイタリアンに入社した時点での年収は約240万円でした。
店長に昇格して、やっと300万円になりました。
その後、多店舗展開している高級レストランに転職したら、360万円からスタートしました。
同じ「店長」でも、環境が違えば年収は100万円変わります。
手取りはいくら?額面との差
額面年収360万円の手取りを計算してみます。
| 項目 | 月額(概算) |
|---|---|
| 額面月収 | 30万円 |
| 健康保険料 | −1.5万円 |
| 厚生年金保険料 | −2.7万円 |
| 雇用保険料 | −0.2万円 |
| 所得税 | −0.6万円 |
| 住民税 | −1.3万円 |
| 手取り | 約23.7万円 |
※東京都在住・扶養なし・40歳未満の場合の概算です
額面30万円でも、手取りは約24万円です。
ここから家賃や生活費を引くと、貯金に回せるお金はほとんど残りません。
飲食店の店長が「給料が安い」と感じるのは当然です。
ボーナスも期待しすぎないほうがいいです。
私の経験では、賞与は年2回ありましたが金額は大きくありませんでした。
年収に占める賞与の割合は1〜2ヶ月分程度が一般的です。
個人経営の店ではボーナスがないケースも珍しくありません。
「年収」という数字だけで判断せず、手取りの月額で生活を考えることが大切です。
固定残業代の落とし穴
飲食業界で特に注意が必要なのが固定残業代(みなし残業)です。
「月給28万円」と書かれていても、内訳を見ると要注意です。
「基本給20万円+固定残業代8万円(45時間分)」というケースがあります。
この場合、45時間までの残業は追加の残業代が出ません。
私の経験では、最初に入った店は残業代が一切ありませんでした。
マネージャーに昇格したときも残業代がなくなり、手取りはアシスタントマネージャー時代とほとんど変わりませんでした。
「昇格したのに給料が変わらない」という状況は、飲食業界ではよくある話です。
役職が上がると残業代が支給されなくなる「管理監督者扱い」になるためです。
求人票を見るときは、基本給がいくらかを必ず確認してください。






年収240万→600万弱に上げた3つの方法
私は約10年で年収を約240万円から600万円弱に上げました。
運が良かったわけではありません。
振り返ると、年収が上がったタイミングには3つの共通点がありました。
| 年齢 | 状況 | 年収(概算) |
|---|---|---|
| 24歳 | カジュアルイタリアンに入社 | 約240万円 |
| 25〜26歳 | 店長に昇格 | 約300万円 |
| 27歳 | ソムリエ資格取得、賞与増 | 約320万円 |
| 30歳 | 高級レストランに転職 | 約360万円+残業代+賞与 |
| 31歳 | アシスタントマネージャー昇格 | 約380万円+残業代+賞与 |
| 32歳 | マネージャー昇格 | 600万円弱(残業代なし) |
売上を上げて評価を変える
最初に店長になったのは24歳のときです。
カジュアルイタリアンの新規オープン店でした。
半年後に前任の店長が抜けて、私が店長代理になりました。
10代のころにバーの店長を経験していたことが、抜擢の決め手でした。
年収は約240万円。残業代はありません。
1年後に正式に店長に昇格し、年収約300万円になりました。
年収を上げるために最初にやったのは、売上を上げることです。
飲食店の評価は、結局のところ数字で決まります。
原価率と人件費を管理し、利益を出せば評価されます。
逆に、どれだけ真面目に働いても数字が伴わなければ昇給しません。
売上目標の達成が、最もシンプルな年収アップの方法です。
高単価商品の販売力も重要です。
ただし、押し売りは逆効果です。
お客様の好みを見極めて、適切な商品を提案する力が求められます。
転職で年収レンジを変える
年収300万円の壁を超えたのは、30歳のときでした。
29歳でイタリアに渡り、現地でソムリエ資格を取得。
帰国後、多店舗展開している高級レストランに就職しました。
入社時の年収は360万円。前職より年収アップです。
同じ「レストランのスタッフ」なのに、環境が変わるだけで年収が大きく違いました。
理由は単純です。扱うワインの単価が違ったからです。
高級ワインを扱う店では、商品知識と販売力が直接売上に貢献します。
スタッフの大半がソムリエ資格を持つ環境で、ワインの販売力が評価されました。
31歳でアシスタントマネージャーに昇格。
新しい店舗に配属され、年収は約380万円+残業代+賞与年2回。
高い月で年収換算600万円弱まで上がりました。
ただし、ここに落とし穴がありました。
32歳でマネージャーに昇格したとき、年収は600万円弱をキープしました。
しかし残業代が付かなくなり、手取りはアシスタントマネージャー時代と変わりませんでした。
役職が上がっても手取りが増えない。
これは飲食業界の構造的な問題です。
転職で大切なのは、年収レンジそのものを変えることです。
同じ会社にいる限り、上がり幅には限界があります。
年収が低いと感じているなら、辞めたい気持ちを整理しつつ次の一歩を考えてみてください。
>>飲食店を辞めたいと思ったら読む記事はこちら
飲食を辞めたいと思ったら読む記事|現役ソムリエが伝える判断基準と次のステップ
資格で「替えが効かない人材」に
27歳で日本のソムリエ資格を取得しました。
29歳でイタリアのソムリエ資格も取得しました。
ソムリエ資格は、今まで働いたどの飲食店でも昇給の対象でした。
カジュアルイタリアンでは資格手当がつきました。
リゾートホテルでは日本とイタリアの両方の資格を重宝され、高級ワインを扱う機会に恵まれました。
高級レストランでは、ソムリエ資格がなければ採用すらされなかった可能性があります。
資格そのものが年収を上げるわけではありません。
しかし、「この人は替えが効かない」と思わせる武器になります。
特に高級レストランでは、ソムリエ資格は必須に近い条件です。
資格を持つことで、年収が高い環境に入る切符を手に入れたのです。
飲食業界にはソムリエ以外にも調理師免許、ワインエキスパート、酒ディプロマなどの資格があります。
ただし、飲食業界で年収を上げたいならソムリエ資格が最もおすすめです。
私の経験上、ソムリエ資格はどの職場でも昇給の対象になりました。
約10ヶ月の勉強期間を覚悟すれば、正しいセオリーで取り組めば必ず合格できます。
迷っているなら、今すぐ勉強を始めてください。



年収が上がる店長・上がらない店長
私はマネージャー時代に100人以上の採用面接を担当してきました。
面接していたのは店長候補(一般社員)です。
その経験と、自分自身のキャリアを振り返って分かった「年収が上がる人と上がらない人の違い」をお伝えします。
面接で見ていたポイント
採用したいと感じた人には共通点がありました。
- 会社の理念を理解して応募してきた
- 面接前に実際に店に食べに来ていた
- 自分が入ることで会社にどうメリットがあるか説明できた
- 目標が明確で、ハキハキと話せた
逆に、不採用にした人にも共通点があります。
お金の話ばかりする人です。
給料や待遇の質問ばかりで、自分がどう貢献できるかを話さない。
使い回しの履歴書で、志望動機が薄い人も同様でした。
スキルは入社後にいくらでも教育できます。
しかし、価値観が合わない人は教育では変えられません。






入社後に年収が上がる人の共通点
面接を通過した後、実際に年収が上がっていく人にも特徴がありました。
- 売上や原価率などの数字を自分で把握している
- 1年単位でキャリアを見直している
- 顧客からの評価が高い
特に3つ目は大きいです。
私自身の経験ですが、常連のお客様が来店した経営者に「いつもお世話になっています」と話してくださることがありました。
こうした顧客からの声が経営者の耳に入ることで、社内評価が大きく上がり、昇進に直結しました。
経営者や上司へのアピールだけでは不十分です。
経営者+上司+顧客の三方から評価される人が、年収を上げていきます。
年収を上げたいなら、まず「自分はこの会社にどんな価値を提供できるか」を言語化してみてください。
店長のキャリア、3つの選択肢


飲食店の店長のキャリアは、大きく3つの方向に分かれます。
社内で昇進する
大手チェーンであれば、店長からSV(スーパーバイザー)、エリアマネージャーへの昇進ルートがあります。
| 役職 | 年収の目安 |
|---|---|
| 店長 | 350〜450万円 |
| SV | 450〜550万円 |
| エリアマネージャー | 550〜700万円 |
昇進制度が明確な会社を選ぶことが重要です。
制度がない会社では、何年いても年収は変わりません。
カジュアル店は店舗数が多く、ポストが空きやすい傾向にあります。
一方、高級レストランやグランメゾンはポストが少なく、経験重視で昇進が遅くなりがちです。
転職で環境を変える
30代前半なら、飲食業界内の転職で年収アップが十分に狙えます。
ただし、35歳を超えると選択肢が狭まるのも事実です。
異業種への未経験転職は、30代前半がラストチャンスに近くなります。
転職を考えている方は、まず自分の年収が適正かどうか確認してみてください。
飲食店の給料が低い構造的な理由を知りたい方は、こちらの記事もどうぞ。
>>飲食店の給料が安い理由を詳しく解説
飲食店の給料が安い理由と年収を上げる秘訣3選
独立する
年収の天井がなくなる代わりに、リスクも大きい選択肢です。
独立は20代の頃から考えていました。
実際に独立したのは30代後半です。
漠然と考えていた独立が、コロナ禍で現実味を帯びました。
営業制限で時間ができたことが、じっくり考えるきっかけになったのです。
独立を決めた理由は2つです。
1つ目は、料理人の妻と一緒に開業できたことです。
サービスだけでは飲食店の経営は困難です。
料理のパートナーがいたことが大きな安心材料でした。
2つ目は、創業計画書で数字を具体的に見たことです。
「いくら必要で、いくら売ればいいのか」を計画書に落とし込むと、漠然とした不安が具体的な数字に変わりました。
家賃交渉では当初の半額まで下げることに成功しました。
固定費を抑えたことで、少ない売上でも利益が出る構造を作れたのです。
現在はコースとワインのペアリングに一本化して運営しています。
メニューを絞ることでオペレーション効率が上がり、お客様の満足度とリピート率を同時に高められました。
独立は全員に勧めるものではありません。
しかし、「いつか自分の店を持ちたい」という目標があるなら、今のうちから数字の勉強と資金の準備を始めることをおすすめします。






よくある質問
店長の年収は上がるのか?
上がります。ただし、同じ環境にいるだけでは上がりません。
実際のところ、昇給の幅は会社によって大きく異なります。
私の最初の会社ではほとんど昇給がありませんでした。
店長になってやっと賞与込みで年収300万円を超えた程度です。
一方、2社目では毎年査定があり、年5〜10万円ずつ上がっていきました。
アシスタントマネージャー手当で+20万円、マネージャー手当でさらに+30万円。
ただしマネージャーになると残業の概念がなくなるため、手取りはほぼ変わりませんでした。
年収を大きく上げるには、環境を変えるか、自分の市場価値を上げる必要があります。
何歳までに転職すべきか?
飲食業界内の転職であれば、年齢制限はあまりありません。
実績と経験があれば40代でも転職は可能です。
ただし、異業種への転職を考えるなら30代前半が目安です。
35歳を超えると、未経験職種への採用ハードルが大きく上がります。
「いつか転職しよう」と思っているなら、早めに動くことをおすすめします。
資格は本当に必要か?
私の経験上、ソムリエ資格はどの職場でも昇給の対象になりました。
資格がなければ高級レストランには採用されなかったでしょう。
約10ヶ月の勉強期間を覚悟すれば、正しいセオリーで取り組めば必ず合格できます。
迷っているなら、今すぐ勉強を始めてください。
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まとめ|年収は「環境×行動」で変わる
飲食店の店長の年収は、環境と行動次第で大きく変わります。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 平均年収 | 約360万円(手取り月23万円前後) |
| 年収の差は環境次第 | 同じ店長でも業態・会社で100万円以上の差 |
| 年収を上げる方法 | 売上で実績を作る/転職で環境を変える/資格で専門性を証明する |
| 上がる人の共通点 | 数字を語れる、目標が明確、自分の市場価値を知っている |
| キャリアの選択肢 | 社内昇進/転職/独立の3つ |
私は年収約240万円から600万円弱まで上げることができました。
特別な才能があったわけではありません。
環境を変え、スキルを磨き、数字で結果を出した。
この3つの積み重ねです。
まずは、今の年収が適正かどうかを調べるところから始めてみてください。












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