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レストラン経営者|現役ソムリエ
飲食業界歴20年以上。レストラン2店舗でマネージャーの経験があり、日本とイタリアのソムリエ資格を保持。現在は、夫婦で小さなワインレストランを経営しています。
レストランサービス業界でキャリアアップを目指す方に向け、年収を100万円アップさせる具体的な方法と手順を解説しています。
この記事を読むことで、
- 飲食を辞めたいと感じる理由(業界データ付き)
- 「辞めた方がいい人」と「続けた方がいい人」の判断基準
- 辞める前に必ずやるべき3つの準備
- 飲食経験を活かせる転職先の方向性
がわかります。
飲食を辞めたいと感じる理由|データで見る業界の実態
飲食業の離職率は、全産業の中でも最高水準です。あなたが「辞めたい」と感じるのは、当然の反応です。
飲食業の離職率は業界トップクラス
厚生労働省「令和4年雇用動向調査」によると、宿泊業・飲食サービス業の離職率は26.8%です。
全産業平均(15.0%)の約1.8倍に相当します。
10人のスタッフがいれば、1年で2〜3人が辞める計算です。
私が働いてきた現場でも、まったく同じことが起きていました。優秀なスタッフが次々と辞め、新入社員も定着しない。そんな環境が続くと、残ったスタッフの負担は雪だるま式に増えていきます。そして、また誰かが辞める。この負のスパイラルを、肌で感じてきました。






辞めたいと感じる主な理由5つ
100人以上のスタッフと向き合ってきた経験と、業界データをもとに整理しました。


1. 年収が上がる見通しが立たない
厚生労働省の統計によると、飲食業の平均年収は約279万円。全産業平均(約523万円)の約半分です。
責任が増えても給料がついてこない。この「割に合わない感」が辞めたい気持ちのトリガーになります。
2. 休みが取れない・体力的な限界を感じる
土日祝日が仕事のシフト制で、世間と逆の生活サイクル。加齢とともに「いつまで続けられるのか」という不安が生まれます。



3. 人間関係のストレス
上司からの過度な管理、クレーム対応、難しい常連客。人間関係のストレスは多層的です。
私自身、休日でも上司からの電話やLINEが来る環境を経験しました。オンとオフの境界がなく、心が休まりませんでした。
4. 将来のキャリアパスが見えない
「このまま働き続けて、5年後・10年後にどうなるのか」が見えないことも、辞めたい気持ちにつながります。体力を使う仕事は、年齢を重ねるほど先への不安が大きくなります。
5. 持ち帰り業務・見えない労働の多さ
店舗の事務作業や発注業務を自宅に持ち帰る。本来は休みのはずの時間に対応しなければならない。こうした「見えない労働」の積み重ねが、静かに心を削っていきます。
辞めた方がいい人・続けた方がいい人の判断基準
「つらいから辞める」という判断は、後悔につながりやすいです。まず「何が嫌で、何が理想なのか」を整理してください。


「辞めた方がいい人」の特徴
次の項目に複数当てはまる場合は、辞めることを真剣に検討してください。
- 体や心のSOSサインが出ている(不眠、食欲不振、出勤前に体が動かない、涙が止まらないなど)
- 職場の構造的な問題がある(ハラスメント、サービス残業の強制、法令違反)
- 「この職場が嫌」ではなく、「飲食業自体が合わない」と感じている
- 次にやりたいことが明確にある(転職先、資格取得、独立、留学など)
私が辞める決断をできたのは、「次の目標が決まったとき」でした。転職でも、独立でも、留学でも。「ここに居続けるよりも、そこに行く方が明確に良い」と確信できたとき、初めて踏み出せました。
ソムリエ資格を取得したあとも同じです。「この環境ではこれ以上スキルアップできない」と感じたことが転機でした。慣れた職場でも、自分の成長が止まっていると感じたら、それは動くサインです。



「続けた方がいい人」の特徴
こちらに当てはまる場合は、今すぐ辞めるよりも、まず準備を整えることを優先してください。
- 「この職場が嫌なだけ」で、サービス業・接客自体は好き
- マネージャーや料理長などの明確なキャリアパスが目の前にある
- 資格(ソムリエ等)を取ることで、この職場での年収アップが見込める
- 感情的に追い込まれた状態で、転職の準備が何もできていない
特に「感情的に追い込まれた状態」での退職は危険です。精神的に疲弊したまま転職活動をすると、焦りから条件の悪い職場を選んでしまうリスクが高くなります。
判断チェックリスト
| チェック項目 | 辞めるサイン | 続けるサイン |
|---|---|---|
| 体・心の状態 | 不調が続き、回復しない | 疲れはあるが休めば戻る |
| 職場への感情 | 飲食業ごと嫌になってきた | 職場環境だけが問題 |
| キャリアの見通し | 1〜2年後が全く見えない | 次のポジションが見えている |
| 次の目標 | やりたいことが明確にある | まだ何も決まっていない |
| 経済的な準備 | 数ヶ月の生活費がある | 辞めたら即座に困る |






飲食を辞める前に必ずやるべき3つの準備


準備①|転職活動を在職中に始める
可能な限り、在職中に転職活動を始めることを強くすすめます。
「辞めてからゆっくり探せばいい」と思いがちですが、退職後の転職活動には次のリスクがあります。
- 収入のない状態でのプレッシャーで、判断が焦りがちになる
- 「どこでもいいから早く決めたい」と妥協して条件の悪い職場を選んでしまう
- 面接官に「なぜ在職中に探さなかったのか」という印象を与えることがある
理想の順番は、転職エージェントへ登録 → 求人を見ながら情報収集 → 内定 → 退職です。在職中に内定を取れれば、退職交渉の際に上司も引き留めにくくなります。
準備②|失業保険の条件を確認する
雇用保険に加入していれば、退職後に失業給付金(いわゆる失業保険)を受け取る権利があります。
| 退職の種類 | 給付制限 | 受給開始の目安 |
|---|---|---|
| 会社都合退職(解雇等) | なし | 退職後すぐに給付開始 |
| 自己都合退職 | 原則1ヶ月(※) | 申請から約2ヶ月後 |
※2025年4月(令和7年)の改正で、自己都合退職の給付制限が2ヶ月から1ヶ月に短縮されました。ただし5年以内に3回以上の自己都合退職がある場合は3ヶ月となります。
退職後すぐに生活が苦しくならないよう、在職中に受給条件・金額・手続きを確認しておいてください。



準備③|退職理由を前向きに言い換える
転職面接では、必ずと言っていいほど「なぜ前職を辞めたのですか?」と聞かれます。
「長時間労働がつらかった」「人間関係が悪かった」という本音はそのまま伝えないほうがいいです。面接官は「この人はうちでも同じ理由で辞めるかもしれない」と感じます。
言い換えの例:
| 本音 | 面接での伝え方 |
|---|---|
| 給料が低かった | 自分のスキルに見合った評価環境を求めて |
| 人間関係が悪かった | チームとして成長できる職場環境に移りたかった |
| 体力的に限界だった | 専門性をより深く発揮できる職種にチャレンジしたかった |
| 将来が見えなかった | キャリアの選択肢を広げるタイミングだと判断した |
同時に、飲食業で培ったスキルの棚卸しもしておいてください。「接客しかできない」と思い込んでいる方が多いですが、そんなことはありません。接客力、スタッフ管理、衛生管理、クレーム対応、繁忙期のマルチタスク——これらは他業界でも評価されます。
飲食経験が活きる転職先3パターン
飲食業のスキルは、業界を超えて通用します。まず自分の強みを整理してから、転職先を選んでください。
飲食出身者の強みとは
私はレストランで100人以上の採用面接を担当してきました。その経験からはっきり言えることがあります。
飲食出身者は、サービスの基礎が体に染み込んでいます。
店によって多少のクセはあっても、サービスの工程や専門用語がある程度共通している。飲食未経験者と比べると、スタート地点が明らかに違います。
ただし、最終的に採用を決めていたのはスキルよりも人柄でした。
愛嬌があり、人に好かれようと自然に努力できる人。そういう人はお客様にも好かれるし、職場の仲間にも好かれる。転職先でも同じことが言えます。技術は後から身につきますが、人柄はなかなか変わりません。
面接でスキルを強調するよりも、「人として一緒に働きたいと思われるか」を意識した方が、転職の成功率は上がります。
ただし、一点だけ補足があります。これは一般的な飲食店での話です。



高級レストランやホテルの最上位サービスでは、求められるものが根本的に違います。向上心がない人は自然と弾かれる世界です。
私自身、そのプレッシャーのある環境に身を置き続けたことが、年収アップの原動力になりました。「飲食業の中でもっと上を目指したい」人は、刺激のある環境に飛び込むのが最短ルートです。






スキル別おすすめ転職先


| パターン | 職種例 | 飲食スキルの活かし方 |
|---|---|---|
| 接客スキルをそのまま活かす | ホテル・ブライダル・アパレル・百貨店 | 接客品質をそのまま武器に。飲食より労働環境が整っているケースが多い |
| マネジメント経験を活かす | 小売店長・介護施設管理・施設マネージャー | シフト管理・スタッフ育成・在庫管理の経験が直接使える |
| 異業種にチャレンジする | 法人営業・カスタマーサポート・一般事務 | コミュニケーション力・体力・柔軟性が評価される |
転職先を選ぶ際は、今の自分のスキルに近いところから始めるのが成功率を上げるコツです。飲食で培ったものを活かしながら環境を変える方が、ゼロから未知の分野に飛び込むよりもはるかにリスクが低くなります。
転職エージェントを活用すべき理由
飲食業からの転職では、転職エージェントを使うことを強くすすめます。
- 飲食・サービス業向けの非公開求人を持っている(求人サイトに載っていない好条件の求人がある)
- 職務経歴書・面接対策を無料でサポートしてくれる(飲食の経験をどう言語化するかを一緒に考えてくれる)
- 転職市場のリアルな情報を教えてくれる(今どんな職種・業界で飲食出身者が求められているかがわかる)
まとめ|まず一歩動いてみよう
今回は、飲食を辞めたいと感じたときの判断基準と準備についてお伝えしました。
- 飲食業の離職率は全産業トップクラス。辞めたいと感じるのは当然の反応
- 「辞めた方がいい人」は、体・心のSOSが出ている、または次の目標が明確にある人
- 「続けた方がいい人」は、職場環境だけが問題で、感情的に追い込まれた状態の人
- 辞める前の3つの準備:①在職中に転職活動を始める ②失業保険を確認する ③退職理由を言語化する
- 飲食スキルは他業種でも通用する。人柄+スキルの言語化が転職を成功させるカギ
| 判断基準 | 辞めるサイン | 続けるサイン |
|---|---|---|
| 体・心の状態 | 不調が続き、回復しない | 疲れはあるが休めば戻る |
| 職場への感情 | 飲食業ごと嫌になってきた | 職場環境だけが問題 |
| キャリアの見通し | 1〜2年後が全く見えない | 次のポジションが見えている |
| 次の目標 | やりたいことが明確にある | まだ何も決まっていない |



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