飲食店経営を成功させるための基礎知識|働きながら経営力を磨くための実践方法

将来は独立して自分のお店を持ちたい!

ローマ

飲食店経営は、サービスや調理の経験とは別に「経営力」が必要だよ!

私はレストランサービス経歴17年、そのうち2店舗でマネージャー経験があり、日本とイタリア双方のソムリエ資格を取得しています。現在は小さなレストランを順調に経営していますが、過去にはたくさんの失敗を経験し、そのたびに試行錯誤をしてきました。

この記事では、「レストランで働きながら経営力を身につける方法」を紹介します。

結論

・「経営者マインド」で行動をする
・決算書を理解できるように簿記を学習する
・経営状況を自分の言葉でアウトプットする

言葉で聞くと難しそうですが、この記事で分かりやすく解説しますのでご安心下さい。

経営力を高めることは、将来独立をしたいあなたにとっても、現在勤めている会社にとってもメリットのあることです。

そして、意識と行動が変わると周りからの変化もあるはずです。経営陣や上司から頼られる存在となり、望まずとも給料アップにも繋がるはずです。

周りに流されず、本気で独立開業を目指す方は、ぜひ記事を読んでください。

目次

経営力を高めるために最初にすべきこと|意識改革と具体的な行動

経営力を高めるためには、最初に「経営者の視点」を理解することが大切です。これは、単に売上を上げる方法を考えるのではなく、店舗全体のバランスを見ながら「お金の流れ」を考え、必要な対策を講じることです。

経営力とは?|お店が持続的に成長するための知識と行動力

飲食店における「経営力」とは、「お店を持続的に成長させるために必要な力」です。この力を軽視すると、経営者自身はもちろん、働く従業員やその家族にまで悪影響を及ぼすこともあります。

ローマ

経営の神様と呼ばれる松下幸之助さんも、「経営力は人間が幸せになるために行う活動」と述べています!

レストラン経営の流れをものすごく簡単に図解にすると、次のようなイメージが湧くでしょう。

もちろん、お客様は自動的に来るわけではありません。健全な経営のサイクルを回すためには、裏方で次のような行動やスキルが欠かせません。

この図では簡略化していますが、実際には、スタッフを育てる「人材育成」や、チームを組織としてまとめる「組織構築力」も重要な要素です。

そして、これら全てを統合したものが「経営力」です。経営力は、店舗を持続的に運営していくために必須のスキルセットです。

今回は、この経営力の中でも「心臓部」と呼べる「財務管理」に焦点を当てて、解説していきます。

カプリ

「経営は財務管理ができなければ、必ず失敗する」と言われるのも、納得ね!

「マーケティング」に関する解説は別の記事で詳しく取り上げていますので、こちらも参考にしてください。
リンク|小規模個人レストランが競合に勝つための戦略(Coming soon)

経営者と雇われ社員の違いを理解しよう

経営者と雇われ社員の最大の違いは、「お金」に対する責任と意識です。

経営者はすべての費用を先行投資し、利益が出なければその損失を自分で負わなければなりません。しかし、雇われ社員は、売上が上がっても下がっても安定した給料を受け取ることができます。

この「リスクを取るかどうか」という違いが、店舗経営における意識の差を生み出します。具体的には、次のような場面でその違いが顕著に現れます。

【具体例
経営者:次の季節に向けて、新メニュー開発のために〇〇万円を投資する決断をする。
▼雇われ社員:「今月は売上が上がったから新しい食器を買おう」と考えがち。

この違いを理解し、自分がリスクを取る立場であればどう考えるかを意識することが、経営力の第一歩です。

売上から、仕入れにかかる「原価」、従業員への給料、家賃、光熱費などの販管費」、そして「税金」を支払った上で、最終的に残るお金が「利益」となります。さらに、この利益から将来の投資や店舗の運営資金を確保する必要があります。

ローマ

右側の赤字で表した部分を比べると、報酬を手にする順番が全く違うことが分かります。

【補足説明】
法人の場合、経営者の給料は「役員報酬」として販管費に計上でき、経費として処理できます。一方、個人事業主の場合、給料の概念がないため経費処理ができません。利益から個人の取り分と将来への投資割合を決める必要があります。

また、経営者と雇われ社員の月々の報酬を視覚化すると、次のようなイメージになります。

業績不振が数か月続いても、雇われスタッフにはほとんど影響がないのに対し、経営者はその全責任を負わなければならず、経営の存続が危ぶまれることもあります。つまり、同じ職場環境にいながらも、経営者とスタッフでは全く異なる視点でお店を見ていることが分かります。

この「経営者マインド」を身につけることが、飲食店経営を目指す方にとってのファーストステップといえます。

「雇われマインド」脱却が第一ステップ|定量的な提案力を身に付けよう

「美味しい料理を作れる」「質の高いサービスを提供できる」ということは、経営における重要な要素の一部に過ぎません。レストラン業界で働く人の多くは、調理やサービス技術を磨くことには積極的ですが、経営を学ぼうとする人はほとんどいないのが現状です。

調理やサービスのスキルがある程度身についたら、次は経営を学ぶことを意識しましょう。経営を学ぶことで、会社の中でもより広い視点を持つことができ、経営者や上司からの評価も高まります。

なぜなら、飲食店経営の本質的な目的は「お金を稼ぐこと」であるからです。いくら料理やサービスの質が高くても、最終的に「お店が利益を出し続ける仕組み」を理解していなければ、経営はうまくいきません。

「資本主義社会の本質」を理解するために、わかりやすい漫画を紹介します。

カプリ

でも具体的に経営者マインドはどうすれば身につくの?

「経営者マインド」の思考を身に付けていく第一歩として、「定量的」な提案をすることを心がけてみてください。

▼雇われマインドの提案例
「週末のディナータイムでは、忙しすぎてシルバー(カトラリー)がいつも不足しています。ピーク時には洗い回す必要があるので、買い足してもらえませんか?」
▼経営者マインドの提案例
「週末は平均40名様の来店があり、席が2回転することもあります。現在、シルバーは50セットしかないため、サービス効率が悪化し、お客様へのサービス提供が遅れる可能性があります。これから繁忙期に入るため、15セット(予備5セット)を買い足すことを提案します。」

いかがでしょうか?経営者視点では、後者の提案の方が具体的で、Yesの返答を出しやすくなりますね。

また、売上が好調なときに「もっと報酬を上げて欲しい」と考える方もいると思いますが、これは典型的な「雇われマインド」です。この考えが通用するならば、逆に赤字のときには給料をゼロにする、あるいは、従業員が経営者にお金を払わなければならなくなってしまいます。

経営にはリスクが伴います。ノーペインノーゲイン(痛みなくして得るもの無し)という言葉がありますが、まさに経営者は痛みを取りにいく立場です。それに対し、雇われ社員は、固定給が支払われる安定を享受し、リスクを取りません。

先に痛みを取るからこそ、成功したときにはその果実は大きくなるということを理解しましょう。

経営力を日常業務に生かす具体的な方法|出来ることから経営者視点で考えてみよう

普段の業務を行いながら「経営力」を養うには、日々の行動に経営者視点を少しずつ取り入れることが大切です。そこで、次の3つのアクションを意識して取り組んでみましょう。

【経営者視点で考えるべき事項】
1.経費の削減
2.適正な仕入と原価率の管理
3.売上向上のための施策

順番に解説します。

コスト削減を意識し、具体的な改善提案を行う

経費削減は、飲食店経営において即効性のある改善ポイントです。普段使っている備品の消費量や仕入れの方法を見直し、小さなコストカットを考えてみましょう。

例えば、「おしぼり業者を変えることで、1ヶ月あたりのコストが25,000円から18,000円に下がり、年間で84,000円の節約が見込めます。」といった具合に、具体的な行動と数字を提示すると説得力が増します。

適切な仕入れができるように在庫管理をしよう

飲食店の売上を安定させるためには、商品ごとの消費傾向や原価を意識した仕入れが欠かせません。特に、ワインやドリンク類はメニューによって売上変動が大きく、適正な発注量を考えることが重要です。

例えば、「来月の特別シーフードコースに合わせ、スパークリングワインと白ワインの消費が10%増えると予測し、それに合わせて通常より10本多く発注する」といった対応を行います。
また、キッチンスタッフと連携し、「来月の推奨メニューに合うドリンクが何か」を事前にすり合わせておくことも大切です。あらかじめ、仕入れ量を予測して判断することが、結果的に売上や利益に繋がります。

売上向上のための施策を考え、行動に反映させる

目標の売上に対して、自分がどのように貢献できるかを考えましょう。

例えば、「今月の売上目標に対して、日割りで1日30万円必要」といった場合、客数の平均や前年の実績から、平均単価をいくらに設定する必要があるのかを算出します。その目安が現状の客単価と比べて不足しているのなら、高単価なメニュー設定を上司に提案することが可能です。
また、自身のセールストークで、お客様におすすめのワインを追加注文していただくなど、単価を上げる工夫を意識することも有効です。

売上アップのための提案や行動は、「客単価を上げる」「客数を増やす」「回転率を上げる」という3つの視点を持って施策を考えましょう。

ローマ

日々の業務にこれらのアクションを取り入れ、少しずつ経営者視点を身につけていきましょう!

経営力を強化する「簿記」の重要性|簿記は資本主義社会の平仮名カタカナ

経営においてもっとも重要な資料が「決算書」です。そして、この「決算書」を読み解く力こそが「簿記」の知識です。

決算書がもっとも重要な資料であることは、大企業でも個人経営の小さな店舗でも変わりません。上場企業であれば、経営者本人や投資家、金融機関などが、企業の経営状態を把握するための重要な資料となります。

決算書は、3つの主要な書類から構成されます。これらの総称して「財務三表」とも呼びます。

1つ目は「損益計算書(P/L)」です。

英語で「Profit and Loss Statement」といい、略してP/Lとも呼びます。これは、企業の「収入」と「支出」を比較し、どのくらい「利益」を上げたかを把握するための表です。

収益や費用を算出するためのこちらのグラフは、月や年ごとに比較することも多く、会議でもよく使用される資料なので、見たことがある方も多いでしょう。

ローマ

矢印の部分を足し合わせると、収益と費用が算出されます。

2つ目は「貸借対照表(B/S)」です。

英語で「Balance Sheet」と呼ばれることから、通称B/Sとも呼ばれます。これは、企業の「資産」「負債」「純資産」を把握し、財務状況を確認するための表です。

貸借対照表は、財務部門や役職クラスしか閲覧しないケースも多く、一般社員には馴染がないかもしれません。しかし、簿記の知識がないと理解が難しい資料の1つです。

例えば、「マイホームは資産だ」と考えている人も多いですが、簿記を学ぶと見える景色が変わります。マイホームは、家の資産価値に左右され、資産価値が下がり負債が上回ると、純資産が毀損(きそん)します。

ローマ

簿記が分かると、純資産のマイナスがどれほど致命的かが理解できます。損益計算書の利益が純資産の一部となるため、全てが繋がっています。

最後は「キャッシュ・フロー計算書」です。

これは、企業の「現金の流れ」を数字化する表で、「今どのくらい現金が使えるのか」を把握し、黒字倒産をふせぐために使用されます。

【黒字倒産とは】
財務諸表上は黒字で資産はあるが、現金の割合が少なく、支払いが出来ずに倒産してしまう現象です。

ただし、キャッシュフロー表は、大企業や複数店舗経営で使用されることが多く、個人店ではあまり使用されません。

まずは、重要な「損益計算書」と「貸借対照表」を読み取れるようになりましょう。そして、そのためには、簿記の学習が必須です。

簿記は、経営者同士の会話では当たり前に使われる、資本主義社会の「平仮名、カタカナ」です。雇われ社員の間に簿記を学習し、経営者視点で物事を見れるようになってから独立することを強くおすすめします。

簿記の話しは深堀りすると長くなるので、別の記事で詳しく解説しています。
リンク|倒産しない飲食店経営のために知っておくべき経理のこと(Coming soon)

また、簿記は独自の考え方があるため、独学だと理解しにくいことも多いです。オンラインスクールのクレアールは、価格もそれほど高くなくて、自分のペースで学習ができるのでおすすめです。コスパ抜群で最高の自己投資になるでしょう。

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ローマ

ちなみに私もクレアール卒業生!ひとまずは日商簿記の3級をとれば十分です。

無料で学びたい方は、youtubeの「ふくしままさゆき」さんの動画が参考になると思います。
【簿記系YouTuber】ふくしままさゆきさんの動画 »

経営力は会議で鍛える|社内会議を活用してスキルを磨こう

経営者からの意見を直接聞ける経営会議に参加することの重要性

経営会議は、経営陣が今後の方針を決めるために協議する、社内でもっとも大切な会議です。船の舵切りをしている経営者本人からの話しも聞けるため、これから経営者を目指す人にとって非常に学びのある場となります。

まずは、経営会議に参加できる可能性が高まる店長職を目指しましょう。

店長職を目指すためには、ソムリエ資格を取得→自身のファンを掴む→店長に昇格する、というステップがおすすめです。

具体的な方法については、以下の記事で解説しています。
» ソムリエ試験を一発合格するための方法|最短ルートを分かりやすく解説
» あなたのファンを獲得するための具体的な方法を伝授
リンク|稼げるスタッフになるには(Coming soon)

経営会議では、事前に議題が共有されるケースが多いので、あらかじめ発表する内容を文章で作っておくことが重要です。準備8割といわれるように、事前準備をしっかりと行いましょう。

ローマ

私が店長を経験させてもらった2つの職場では、年上の方しかいない環境だったので、人一倍準備に力を入れていました。

そしてここでも、先ほど紹介した簿記の力が大きく役立ちます。経営者に寄り添った視点で議論ができれば、他の社員とは一線を画す存在になります。

カプリ

経営会議に参加できない人は経営力を磨けないの?

経営会議に参加できない場合は、店舗ミーティングを練習の場としましょう。経営会議と同じく、事前準備を徹底し、自分の意見を持って臨むことが大切です。

また、大企業に勤めている人は、「会社名 IR」とGoogle検索をかけると、自社の決算書や財務情報を閲覧することができます。普段の業務では見えない会社全体の経営状況を知ることができ、会議での発言の質を向上させる助けとなります。

経営力向上のための訓練|自分の言葉でアウトプットしよう

会議に参加をしたら、同僚や後輩など、必ず誰かに話すようにしましょう。「どのように説明したら理解してもらいやすいか」を考えてアウトプットすることで、初めて自分の力となります。

アウトプットする際に重要なポイントは、次の3つです。

1. 要点を整理し、自分の言葉で説明すること

経営会議では多くの議題が扱われ、専門用語や難しい概念も多く出てきます。内容をそのまま丸暗記するのではなく、要点をまとめ、自分の言葉で説明できるようにすることが大切です。

自分の意見や解釈を交えて説明できると、経営者視点を持った提案力が身につきやすくなります。

2. 定量的なデータを用いて根拠を示す

すでに経営力を身につけるための最初のステップでお伝えしましたが、上司への提案のときだけでなく、周りのスタッフへの説明も「定量的」な情報を交えることが大事です。

どんな小さな改善でも、具体的な数値や指標を交えてアウトプットする練習を意識しましょう。

3. 目的と成果を意識し、次のアクションを明確にする

経営会議のアウトプットでは、話した内容がどのような目的を持っているのか、成果として何を期待するのか、次に何をするのかを明確にすることが重要です。

成果を測定できる目標を設定し、その進捗を定期的に振り返る癖をつけると、実行力と改善力が鍛えられます。

ローマ

PDCAサイクルの計画を作成することもリーダーの任務だよ!

飲食店を開業するために必須の経営力|計画的な準備で成功を掴もう

今回の記事では、「レストランで働きながら経営力を身につける方法」について解説しました。ご紹介した具体的な方法は、次のとおりです。

1.経営者マインドを身につけて行動すること

経営者と雇われ社員のリスクとリターンの違いを理解し、経営者マインドを身につけましょう。具体的に、「経費の削減」「適正な仕入」「売上向上のための施策」を考えて行動すると、経営者マインドが身につきます。

2.決算書が理解できるように簿記を学習すること

決算書は、企業においての「心臓部」です。これが理解できないと、個人経営で成功するのは難しいといえるでしょう。雇われ社員の間に簿記を学習し、基盤を固めましょう。

簿記の学習では、オンラインスクールのクレアールがおすすめです。
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3.会社の状況を自分の口でアウトプットすること

社内会議などで得た内容は、自分の言葉でアウトプットしましょう。要点を整理し、目的と成果を意識して、定量的に自分の言葉でアウトプットすることで、必ずあなたの血肉となります。

経営を学ぶと、仕事の視点が大きく変わります。
独立開業の夢を成功へと導くため、早いうちから経営力を学びましょう。

私は、頑張るあなたを応援しています!

ローマ

またお会いしましょう!

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