「自分の店を持ちたい!」その夢を実現するため、多くの人が直面するのが「資金調達」の壁です。
特に、個人で初めて飲食店を開業する場合、
といった不安は尽きません。
結論、飲食店の開業融資であなたが頼るべき金融機関は、
- 日本政策金融公庫(公庫)
- 信用金庫(信金)
この2つのみです。
私自身、レストランを開業する際に融資を利用しました。その経験から、なぜこの2つ金融機関が個人事業主の強い味方になってくれるのか、その理由と融資の具体的なポイントを解説します。
この記事を読めば、あなたが融資相談で迷うことなく、自信を持って夢への一歩を踏み出すための知識が身につきます。
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開業の忙しいタイミングで余計なことに悩まされないよう、しっかりと理解しておこう!
小規模飲食店の融資相談は2つの機関に絞るべき


小規模事業者が融資を受ける際に相談する相手は、日本政策金融公庫(公庫)と、信用金庫(信金)です。
その理由は、これらの機関と個人事業主の目的が合致しているからです。
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詳しく解説していくよ!
候補1|国の機関「日本政策金融公庫(公庫)」
日本政策金融公庫は、政府が100%出資する金融機関です。その目的は、民間金融機関の取り組みを補完し、国民生活の向上に貢献すること。
つまり、中小企業や小規模事業者、これから事業を始める人を支援することが、公庫の重要な役割の一つなのです。
そのため、まだ実績のない創業期の融資にも積極的で、創業者向けの融資制度も充実しています。
まずは公庫に相談する、というのが王道の選択肢と言えるでしょう。
候補2|地域密着の「信用金庫(信金)」
信用金庫は、銀行とは異なり、地域社会の発展を目的とした協同組織の非営利法人です。
会員(地域住民や事業者)の出資によって成り立っており、利益を追求するのではなく、地域の繁栄に貢献することを理念としています。
そのため、地域に根差して新しいビジネスを始めようとする個人事業主に対して、親身に相談に乗ってくれるケースが多いのです。
メガバンク・地銀との目的の大きな違い
一方で、メガバンクや地方銀行は、株主の利益を最大化することを目的とした「株式会社」です。もちろん、企業の社会的責任として中小企業支援も行いますが、本質的には自社の利益が最優先。
そのため、実績のない個人事業主への融資はリスクが高いと判断され、審査のハードルが高い傾向があります。
機関の種類 | 目的・理念 | 主な特徴 |
---|---|---|
日本政策金融公庫 | 国民生活の向上、中小・小規模事業者の支援 | 創業者向け融資に積極的、国の後ろ盾がある |
信用金庫 | 地域社会の発展、貢献(非営利) | 地域密着型、親身な相談が期待できる |
メガバンク・地銀 | 株主利益の最大化(営利目的) | 実績を重視、大企業や中堅企業が主な取引先 |



それじゃどの会社も銀行や地銀で融資を受ける必要が無いんじゃないの?
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それは、会社の信頼や権威性を示すためでもある。そのため、企業のホームページでは取引先銀行が書かれていることも多い。
融資を理解するための3つの比較ポイント
融資を受ける際には、いくつかの専門用語が出てきます。
ここでつまずかないよう、最低限知っておきたい3つのポイントを解説します。
①金利の種類と相場の把握
金利には、返済終了まで利率が変わらない「固定金利」と、市場の金利に合わせて変動する「変動金利」があります。
創業融資の場合、将来の返済計画が立てやすい固定金利が一般的です。
公庫の創業融資の場合、金利は年利2%~3%台が目安となります(制度や個人の状況、担保の有無により変わります)。
これは、一般的なビジネスローンなどと比較すると、非常に低い水準。
私の場合、開業地の信用金庫で融資を受けましたが、コロナ禍だったころもあり、金利1.2%で借りることができました。



1.2%は安いわね!
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コロナ禍では、廃業を避けるための企業支援として、無担保無金利などで借りられる制度もあったよ。
②返済期間と据置期間の考え方
「返済期間」は、融資を完済するまでの期間です。
期間が長ければ毎月の返済額は少なくなりますが、支払う利息の総額は増えます。運転資金なら5~7年、設備資金なら7~10年程度が一般的です。
「据置期間」とは、元金の返済は据え置き、利息のみを支払う期間のことで、一般的には半年から1年程度です。
開業当初は売上が安定しないため、この据置期間を設けることで、当初の資金繰りを楽にすることができます。
③保証人と担保の基本知識
「保証人」は、万が一あなたが返済できなくなった場合に、代わりに返済義務を負う人です。
担保は、返済できなくなった場合に、代わりに差し押さえられる資産(不動産など)を指します。
創業者支援の公庫の制度には、無保証人・無担保で利用できるものがあるため、必要に応じて利用しましょう。
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ただし、無保証人・無担保は、金利が高くなる傾向にあることも知っておこう。



銀行に保証を差し出せば、その分利息が減るってことね。
融資の注意点と事前に準備すべきこと


リスク許容度を越えた借り入れはしない
融資といえば聞こえはいいですが、要は借金であることを忘れないでください。
キャッシュフローを良くするためにと、借りられるだけ借りることをおすすめしている方もいらっしゃいますが、個人的には、リスク許容度を守った最低限の借り入れを強くおすすめします。
「お金をたくさん借りて、余裕をもたせた方が、リスクが少なくて安心感もある。」
一見筋が通ってそうな考えですが、私は机上の空論だと考えています。
理由は、「開業にかかる費用は、お金があるだけ膨むことが多い」からです。
飲食店の開業は、当初の予定以上に出費が膨らむことが珍しくありません。そのときに、余裕をもって借りたはずのお金を手を出してしまうと、後々の返済に苦労をするのは想像に容易いです。
まずは、身の丈にあった予算の範囲で起業し、利益を着実に出せるようになってから追加融資を検討するのが、もっとも堅実で潰れにくいお店づくりだと私は考えています。
融資相談に最適なタイミング
融資の相談は、事業計画書に落とし込む具体的な数字が把握できた段階で始めるのが理想です。
物件の取得費用や内装費の見積もりなど、具体的な計画がないと、金融機関側も融資の判断ができないからです。



それってどのくらいが目安なの?
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経験上、だいたい3〜4ヶ月くらい前かな。費用の相見積もりなどは時間がかかるケースもあるから、それまでにある程度準備しておこう。
無知だった私の場合は、開業半年以上前に相談に行きましたが、具体的な数字がない段階だったので仕切り直し。
再度、具体的な話は開業予定の4ヶ月前くらいから詰めていきました。
しかし、早めに顔を出しておくことで、担当者と信頼関係を築く時間ができたり、融資について深く知ることができたので、振り返るとメリットが多かったように感じます。
考えることが山ほどでてくる開業前ギリギリの相談を避ければ、融資相談のタイミングは厳格にならなくても大丈夫です。


事業計画書で伝えるべき内容
事業計画書は、あなたの夢を具体的な数字とロジックで示す、最も重要な書類です。
「情熱」だけでなく、「この事業で、どうやって利益を出し、返済していくのか」を客観的に示す必要があります。
特に重要なのは以下の点です。
- お店のコンセプト、ターゲット顧客
- 具体的なメニューと価格設定
- 売上と集客予測
- 開業資金の内訳
- 運転資金の計画
- 利益計画と返済計画
>> 事業計画書の詳しい書き方については、こちらの記事も参考にしてください。


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事業計画書の考え方と簡単な書き方を紹介しているよ!
自己資金の重要性と「見せ金」のリスク
融資を受ける際、自己資金をどれだけ準備できているかは重要な評価ポイントです。
一般的に、開業資金総額の3分の1程度の自己資金があると、融資の審査に通りやすくなると言われています。
>>開業のための資金計画の考え方は、こちらも参考にしていみてください。





開業に必要なまとまったお金と、日々の経営に必要なお金の流れを解説しているよ!
注意したいのが、一時的に他人からお金を借りてきて口座残高を多く見せる「見せ金」です。
金融機関は通帳の履歴を細かくチェックするため、見せ金は必ず見破られます。発覚した場合、信頼を失い、融資が絶望的になるので絶対にやめましょう。
個人信用情報の事前確認
過去にクレジットカードやローンの支払いを延滞したことがある場合、その情報が個人信用情報機関に記録されている可能性があります。この情報に傷があると、融資の審査に大きく影響します。
不安な方は、CICやJICCといった信用情報機関に、ご自身の情報を開示請求してみることをおすすめします。
事前にご自身の現状を正確に把握しておくことで、予期せぬ審査落ちを防ぐことにつながります。
まとめ|信頼できる金融機関と夢への一歩を


今回は、飲食店の開業融資について、頼るべき金融機関の選び方と、申し込み前の注意点を解説しました。
小規模な個人店が開業時に頼るべきは、営利を目的としない「日本政策金融公庫」と、地域貢献を理念とする「信用金庫」です。
そして、融資を成功させる鍵は、「なぜこの事業をやりたいのか」「どうやって利益を出し、返済していくのか」を具体的に示した事業計画書と自己資金です。
飲食店を開業するための資金調達は、開業における最初の大きなハードル。
融資を利用する機会がある人も多いと思いますが、基本を抑えればそれほど難しいことではありません。
しかし、融資はあくまで借金。後の資金繰りにも影響してくるので、くれぐれもリスク許容度の範囲内で、計画的な利用を強くおすすめします。
この記事が、誰かのお役にたてれば幸いです。
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またお会いしましょう!
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